講座やトレーニング、研修、はたまた日頃の指示まで、人に何か伝える場面で、
「あれ?私の言っていたこと、伝わっていますか・・・?」
と思うことはないでしょうか?
忙しい中で折角時間を作ってインプットしたのに、効果が出ないじゃないか!
いや、効果が出ないどころか何だか逆効果になってる!?
そんなことが私も部下との関わりの中でありました。
私は部下のために必要だと思ったことを、なるべく簡潔にまとめて伝えたのに伝わっていない。
相手の反応が悪い、行動が促されない・・・。
これではインプットしようとすればするほど、お互いに疲弊してしまいます。
相手に何かをインプットする上で、最大限、効果を高められる方法は無いのだろうか・・・?
そう思っていた時に平本式で即使える技術を教わったので、今回はその一部をご紹介してみます。
メラビアンの法則によると、「何を言ったのか」という「話の内容」にあたる言葉は、全体の7%しか聞き手の印象に残らない」ということになっています。それよりも聞き手の印象に残るのは「どう言ったのか?」という言い方にあたる「口調や声のトーン、抑揚」(38%)と「ボディランゲージ」(55%)だと言うのです。
これが確かにそうだと思えたのが、「ありがとう」の事例です。
「ありがとう」と素気なく言われ、「やらない方がよかった?」と感じたことがありました。その一方で、「ありがとう!!!」と目を見開いて両手で手を握られて、その手を上下にぶんぶん振りながら満面の笑みを向けられた時は「わぁ、こんなに感謝してくれるのか!」と驚きました。
これは平本式で言うところの「ステイト(オブ マインド)」が影響しているのですが、ステイトとは心のあり方や感情を外に表現することを指し、伝えたいメッセージの相手への伝導率を高めることができるのです。
しかもこのステイト、実は「自分のステイトに合ったステイトの言葉以外、人は耳に入らない」と平本さんは言っています。
めちゃくちゃ落ち込んでいる時に、ガッツのあるステイトは耳に入ってこないのです。
そんな時は、相手のステイト同様、トーンを下げて自分も落ち込んでいる様子を表現しながら話しかけるとやっと聞いてもらえます。「人間の脳は、自分にとって必要な情報だけを選び取って処理している」とは聞いたことがありましたが、ステイトですらそうだったとは驚きです。
そして、
のです。
例えば、月曜日、やる気の上がらない朝一番の状態を、「さぁやるぞー!」とやる気がみなぎる状態にするには、どんな朝礼をしたらいいのか。
目的ばかり考えていた頃は、つい最初から気合を注入する時の松岡修造さん並みに熱く元気な朝礼をすればいいと思っていました。でも、それでは朝一番の受け手のステイトからすると「鬱陶しい」もしくは「耳に入ってこない」朝礼になってしまうのです。
それを、最初はトーンを下げて相手が思っていそうなことを言う、ということに変えてみます。
「あー、休みが終わっちゃいましたね〜、なんか気分がいまいち上がらないですよね〜」
そこから、朝礼後に聞き手に実現してほしい「やるぞー!」というステイトに上げるために、
どんなことを喋ったら相手の感情がどう動いて、最終目的のステイトまで上げられるのかを考えます。
その一つ一つを聞いた後に聞き手の感情がどうなるのかを考え、最終ゴールのステイトに持っていける流れを組むのです。聞き手にどう聞こえるかを考えたことはあったけれども、聞き手の感情から話や講座の流れを設計して臨む、という概念は平本式で初めて知りました。
実際にこれをやってみると、聴衆が30名以上いるような場で初対面の状態でも、ステイトのマッチングで喋り手の私の方に聴衆が顔を向けてくれるということを実感しました。
計画通りに相手が反応してくれるので、驚きと同時にガッツポーズが出そうになります。(笑)
これが平本式コミュニケーションなのだそうです。
相手と自分の理想の関係性を描いた上で、そこに向けて緻密な計算をしたコミュニケーションをとっていく。
それこそ、私が「A」と言ったら相手は「B」と返す、と絶対にそうなるというような工学的なものだと平本さんは説明しています。
しかもそれが理系ではない、感覚優位の私でも自分で構成できるようになりました。コミュニケーションスキルは今まで教わったことがなかったけれど、こんなに簡単で再現性が高いならばもっと早く知りたかった!と思うくらい自分の人間関係を好転させてくれました。
折角人に何かを伝えるなら、最大限伝わる方法で伝えたいですよね。
思いや目的がちゃんと相手に伝わると、それは相手の行動を生み出すきっかけになります。
部下の行動変容を促せるようになったら、仕事がより楽に、楽しく感じられるようになっています。
マネジメントに携わる方の中には、世の中の変化のスピードが早く、対処すべき問題が多くある中で疲弊されている方もいるかもしれません。だからこそ、人間関係の苦労は「思った通りに伝わる」平本式コミュニケーションで手放してほしいと思うのです。