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【働くママ・パパを応援】子育てのヒントVol.7 子ども同士のケンカ、本当に止めなくていいの?

  • 専門家コラム

仕事に家事に育児に・・・時間に追われる毎日。そんな働くママ・パパ達へ。

元小学校の先生で、現在は子供達と関わる先生に向けた塾「未来学園HOPE」を運営されている梶谷希美さんへのインタビューをもとに、アドラー心理学の考え方を活かした、子育てのヒントをお伝えしていくコラム。

【第一弾】ケースごとにみる対処法シリーズのVol.7では、子ども同士がケンカをした時の対処法をお伝えします。

梶谷 希美さん(のんちゃん)
小学校の教員を10年以上、崩壊クラスの立て直しを毎年行う。先生のための塾「先生塾」を開校したいという目標ができ、起業。その他にも、教育プラットフォーム「未来学園HOPE」の立ち上げ、書籍の出版(先生の時間はどこへ消えた?-仕事の時短仕分け術-/学芸未来社)など活躍の幅は多岐にわたる。

プライベートでは歌うことが趣味。

家でケンカばかりの子どもたち。つい止めてしまうけれど・・・

家にいると、子どもたちがケンカばかりしている。
おもちゃの取り合いをしたり、いたずらをした/しないで揉めていたり。

最初の頃は「やめようね」と言っていたけれど、いつからか、「いい加減、やめなさい!」「ほら!ごめんねって謝りなさい!」と、こちらも怒りモードに。

かと思ったら、いつの間にかケロっとして、また仲良く遊んでいる。
私はモヤモヤが残っているっていうのに・・・。

止めないほうがいいとも聞くけど、見ていられない。
危ないし、これを外でもやったら迷惑をかけてしまうと思うと、つい口を出してしまう。どうしたらいいの?

梶谷さんからのアドバイス ”ここが大事!”

梶谷さん

ケンカをしていると、止めさせようとすればするほどエスカレートします。
私は、そもそもケンカはしてもOKだと思っています。
私が以前受け持っていたクラスでも、もちろん何度かケンカはありましたが、私は止めません。

アドラー心理学では、「課題の分離」という考え方があります。課題の分離としての考え方でいうと、ケンカをするという選択をしたのであればOKですし、そのあとどうするか、どうすればいいかは本人たちの課題です。

一方で、机があって危ないとか、周りの無関係の子への被害を防ぐために、何とかしないといけないという、先生である私自身の課題があります。

なので、私は子どもたちにこのように声を掛けます。

「ケンカをするなら外に出て。ここでやるとケガをしてしまいそうだし、他の子も危ない。砂場なら倒れてもそんなに痛くないから、砂場でやってきてちょうだい。はい!行ってらっしゃい!」

そう声をかけると、不思議と本人同士も気持ちが冷めて、収まってくるものです。

ここで大切なことは、課題の分離は決して”放っておくこと”ではありません。
関わりたいと自分が思うのなら、関わっていいのです。

「ああしなさい、こうしなさい」という指示をするやり方ではなく、ご自身が関わりたいと思った理由を明確にしたうえで、「このようなことでケンカをしているとあまりいいことがないと思っている。」ということを伝える。

そして実際にあったことを双方から聞いて、じゃあどうしたい?を促す。
そういった関わり方が「分離ができている」関わり方だと思います。

解説
一般的に力が強かったり、頭がいい側を制止しがちですが、ケンカそのものは彼らの課題。

子どもたちの社会の中でも、時には強い勢力に押されそうになったり、小さいものをいじめそうになったり、そうするとどうなるのか、経験して学んでいくもの。

家の中で起きていることならなおさら、目の届く範囲。
「これは学べるに違いない」と信じて接するのです。

一方で、抵抗できないような小さな子とは引き離す、本当に危ないものは撤去するなど、ご自身のなかで介入するポイントを決めておく事も大切です。

課題の分離のなかで、「共同の課題」という考え方がありますが、これは相手の課題に対して、自分も関わろうと決めたことを ”あえて共同の課題にする” というもの。

例えば、相手を傷つけるような言ってはいけない言葉を使ったとき。
「この言葉は使ってほしくない。なんとかしたい。」と自分自身が感じたのであれば、「何が嫌で、ムカついたのかを話すことはいいけれど、その言葉は言ってはいけない言葉です。何があったの?」と共同の課題にする。

そうやって、自分の関わり方を決めてもいい、ということです。
つまりは、あなたの意思で、毎回関わり方を選べるということなのです。

そして、最も大切なことは、子どもたちの力を信じる事。

ケンカの先に学べることがきっとある。
例えいけないことをしたとしても、真剣に関われば必ず伝わる。

「あなたを信じています」という気持ちをベースに関わる事で、対等だけれども愛情深い、そんな信頼関係が築いていけるのではないかと思います。

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