本記事は、現場変革リーダー養成コースを受講したあと「受講生にどのような変化があったか」をインタビューし、その内容から抜粋してまとめたものです。今回、インタビューにご協力くださったのはともよさんです。
2018年12月に本を出版。
赤ちゃんはできる! 幸せの排泄コミュニケーション: 「おむつに頼りすぎない育児」という選択
現場変革リーダー養成コース6期に参加。
現場変革リーダー養成コースに参加する前は、保育士、助産師、看護師、といった子育て支援の専門職の方を対象に仕事をしていました。
そして活動をさらに広げていくため、組織を対象に活動できる力をつけたいと思ったんです。
保育所など、現場のコミュニケーションを改善するスキルを学ぶため、現変に参加しました。
私はこれまで、色々な仕事をしてきました。
20代の頃は、実家が経営していた保育所で保育士をしていました。
でも、正直楽しくなかったんですよね。
園児たちとの関わりも楽しいと思えず、経営している両親も愚痴を言い合ったりしていて。
保育所という現場自体に、「思っていたのと違うがっかり感」がありました。
それで、20代後半からは日本をいったん離れて、国際協力の分野に飛び込みました。
私は保健医療の分野が専門だったので、中南米やアフリカにJICA専門家として派遣されたんです。
具体的な仕事として、例えば、メキシコやアフリカのアンゴラなど国の政府から「母子手帳を作りたい」というリクエストを受けて、制度作りのサポートをしたこともあります。
国の保健システムを改善したり、母子手帳というツールを導入したりすることで、ある程度うまくいくこともありました。
でも、制度を変えたり、ツールの導入だけではうまくいかない場面にもたくさん直面したんです。
そのため、そこでも「何かが足りない」という気持ちがありました。
平本式で3ヶ月コースを受講して、足りなかったものが何かがわかりました。
それは、「人と人との関係」です。
具体的には、職場の空気感、一人一人のやりがい・モチベーションなど。
実は「人と人との関係」が何よりも大切だったんだと気づいたんです。
20代の保育所時代でも、30~40代の国際協力時代でも、「人と人との関係は大切だ」となんとなく思いつつも、本当の意味での重要性や、それを改善する具体的な方法がわかっていなかったのです。だから、当時の私は何をやっても「思ってたのとなんとなく違う」と感じていたんですね。
まず「人と人との関係」があって、その土台の上に「システムの改善」や「ツールの導入」をつくるということが重要だったんです。
特に良かったことは数多くあります。
一つ目は、組織内にいる「さまざまなタイプの人」たちを想定して、タイプに合わせた接し方を学べたことです。
組織という現場の中にはさまざまなタイプの人がいます。
例えば、すごくやる気のある人だったり、私みたいに「思ってたのと違う」と感じている人だったり、経営者さんだったり。
立場も性格も性別もバラバラな集団ですが、現変で学んだことを生かせば、その組織に最適なプログラムを作ることができます。
受講したおかげで、組織向けのプログラムを作るにあたって、私が一番大事にしていきたいポイントが明確になりました。
それだけではなく、
・組織の空気を良くするには「良いウワサを流す」
・相手の立場に立つための「ポジションチェンジ」
など、組織長にアドバイスするための「宝箱」が数多くできました。
プライベートな話になりますが、私の母は高齢で、2年前くらいから軽い認知症が始まりました。
特に母が気分的に落ち込んだ時に、私に電話をしょっちゅうかけてくるようになりました。
「死にたい。生きていたくない」って。
私もプロのコーチなので、「そうだね、お母さん、死にたいくらいつらいんだね」と、共感しながら話を聞きました。
コーチングでは、共感して話を聞いてから「本当はどうなりたいですか?」「そのためにはどうなったらいいですか?」と問うことで、相手の気づきと行動を促します。
しかし、認知症の母の場合、「本当はどうなりたいの?」と聞くと、「死にたい。」と返ってくるのですが、「そのためにはまず何からやる?」とは問えませんよね。
だから私は、ただ「そういう気持なんだね・・・」と共感しながら話を聞くことしかできませんでした。
そんな状態がずっと続いて「どうしたらいいのかな。」と私も困っていました。
そんなときに、現変で習った平本さんの「去り際ステイト2倍」の話を思い出しました。
ふと、それを「母にやってみよう」と思ったんです。
あるとき、電話かかかってきました。
「死にたい、天国に行きたい」という母に、私も最初は「そうか、そうか」と、共感していました。
でも、その時の私は、とりかかっていた仕事に戻るため、早く電話を切る必要があったので、明るいトーンでこう切りだしました。
「そうか、お母さん!死にたい位つらいのに、私に電話してきてくれて、お母さんの声を聞かせてくれたから、今すごく元気が出てきたよ!今日はいい感じで仕事できそうだから、今から仕事行ってくるわ!」
といった具合です。
母も最初はあっけにとられた様子でしたが、ちょっと間があって「そうか、じゃあ元気に行ってらっしゃい!」と、母の方から電話を切ってくれました。
私は「これはイケる!」と、手ごたえを感じましたね。
また別の日の夜に電話がかかってきて、なかなか切ってくれないときも同じやり方で、「そうか、そうか。つらいね。死にたいんだね」と穏やかに共感しました。
そのあと、
「……それなのに!今日もわたしに電話してきてくれて、お母さんの声を聞いたらすごく元気になってきたよ!今夜もまだ仕事がたくさん残ってて、でも、もう疲れたし夜も遅いから寝ようかな・・・と思ってたんだけど、お母さんの声を聞いたらやっぱりやる気になってきたから、仕事に戻ってもう少し頑張るね!お母さん、ありがとう!」
と言ったら、
「いや、私もあんたの声を聞けて、元気になったよ」
って、逆に母の方から私を勇気づけてくれたんです!
もう本当に、今思い出しても感動します。
こんな風に母とコミュニケーションがとれるなんて、信じられませんでした。
普通はどちらかですよね。
「死にたい、天国行きたい」で共感しちゃって、一緒に落ち込むか、
「そんなこと言わないで」って説得してもうまくいかないか。
共感もダメ、説得もダメ。
でも「去り際ステイト2倍」がうまくいったんですね。
子育て支援の現場では、「困っている子」「困っている親」との関わりが、保育や保健医療の専門職にとって大きな課題です。
でも「困っている親や子」に対しても、勇気づけのポイントがきっと見つけられるんじゃないか?と感じました。
私は今、保育所だけではなく、子育て支援の分野全体を良くしたいという思いで活動を展開しています。
それによって大人と子どもが「良いコミュニケーション」をとれる場所や機会を増やしたいのです。
「どんな親でもどんな子どもでも必ず勇気づけられる!」という自信を持った子育て支援者を日本中に増やしたいですね!
いかがでしたか?
本記事は、平本式ライフキャリアデザインコースや現場変革リーダー養成3ヶ月コースを受講したともよさんのお話しを要約したものです。
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