あー、この人、ここさえ直ればいいのになー!この欠点さえなければ・・・!
こう思う人、あなたの周りにいませんか?
部下だったり、子どもだったり、夫や妻などパートナーだったり。
私は会社で評価される側でもあり、評価する側でもあるので「この欠点さえなければ評価が上がるのに!」と思ったり、それを直すようにフィードバックしたりする機会がたくさんありました。
いいところがいっぱいある人だけど、ここが直ればさらに良くなるよなとか、この人が困らないように直した方がいいよなと思って、「直した方がいいよ」とアドバイスするのだけれども一向に直る気配がない。
ちょっとストレスを感じる場面ですよね。
やっぱり人の性質って変わらないのかぁ・・・そんな風に諦めたくなることも多々ありました。
人の性格を直そうとすることほどストレスフルなことはありません。
指摘したって変わらないんですから!!
それどころか、欠点を指摘するとお互いの関係性が悪化することすらあります。
家族で関係悪化したら毎日憂鬱でしょうし、部下との関係性が崩れたら通っていた指示も通らなくなってしまいます。
ところが平本式には、指摘せずにその人の欠点を小さくしてしまう方法がありました。
「目的論」で関わることです。
具体的には、「短気」という性質を出す「目的」は「行動が早いと得をする」といったメリットを自分が感じるためだったということや、「自分は優しい」と思えば人に優しくできることに意識がどんどん向いていく、「つまらない」と思えばつまらないことばかりに目が向いていくというようなことです。
「思いやりがないよね」と相手に指摘すると、相手の中では「自分は思いやりがない」という意識が拡大していってしまい、相手は思いやる力を発揮するどころか、どんどん思いやりがなくなってしまう可能性が高いのです。
単純な話「思いやりがないよね」と言ってきた相手に、気持ちよく「思いやりある」行動は、なかなか取れないですよね・・・。
指摘するのもストレスなのに、相手の中でその欠点が拡大していくとしたら・・・
「欠点を指摘する」ということは、なんと無駄にストレスフルになる行為なのでしょうか!
人の性格には、本当に色々な要素が入っています。
「優しい」だけの人はおらず、「面白い」「短気」「飽きっぽい」「真面目」など一人の人の中に複数の性質が存在しています。
私達が普段見ていてその人の「性格」だと捉えているのは、その中の一部分だったり、複数ある性質の中で目立っているものだったりするのです。
しかも、その性質が出てくる場面もあれば出ない場面もあります。
時間に余裕のある時には優しい人だけど、時間に余裕がない時は何だか怒りっぽくなってしまうなんてこともありますよね。
今自分に見えている「欠点」のように思える性質も、実は出てこない場面もあるということです。
それを利用して、先ほど出てきた「思いやりがない」という性質をどう引っ込めていくか。
どんなに小さくても「思いやりがあった」と感じた場面で「思いやりがあるね!」と伝えた方が
ないことを指摘するよりも「思いやりがない」という欠点がなくなっていく可能性が高くなります。
ドアを開けてくれた!
「ありがとう!思いやりがあるよね。」
ズンズン先に歩いて行って「ちょっと待ってくれてもいいじゃない!」と思うけど、途中でちょっと振り返った!
「あ、気にしてくれてありがとう!思いやりがあるよね。」
こんな感じです。
このやり方だと、指摘しようと思っていたこちら側も、ないものに目が向く「不足思考」ではなく、あるものに目が向く「充足思考」になるので、ストレスなく相手にポジティブな言葉をかけ続けられます。
「あなたにはこの性質があるね!」とポジティブな言葉がけをしていくだけで、欠点が萎んでいくなんてなんとすごい方法なんだ!と最初に知った時にとても驚きました。
実際に、笑顔が乏しい部下に対して「笑顔がないから笑顔をもっと出して」というよりも、ちょっと表情が変わったかな?目尻が下がったかな?と思ったタイミングに「今笑顔になったね。その笑顔もっと出して!」と言った方が相手から自然な笑顔が増えていきました。
それどころか、この目的論でのフィードバックを重ねていくと、相手が「自分のことを期待して見ていてくれる、認めてくれている」と思ってくれ、信頼関係が深まっていくのを感じるようになりました。
相手の中に出してほしい要素が「眠っている」という前提で関わっていくので、信じて関わることができるんです。
これは自分にとってもストレス軽減どころか、人間関係や仕事の上での悩みを根本から解決する方法であったように思います。
会社や学校の評価制度の中では、まだまだ行動改善を促さなければならない場面が多いのではないかと感じています。
それがストレスなくできるようになって、目の前の相手がどんどん変わっていったら、あなたの仕事はどうなるでしょうか?