平本式卒業生インタビューvol.1
今回は、企業マネージャーから研修講師として独立された濱松英生さんにお話を伺いました。
濱松さんが企業の子会社トップとして責任者を務めていらっしゃった頃、ある部署で危機的な状況に追い込まれたそうですね。その時の状況を教えていただけますか?
新しい仕事を受注したことをきっかけに、スタッフの労働時間が急増してしまい、慣れない業務の中ミスも多発し、リカバリーで残業時間がさらに伸びてしまう。
疲れからくる身体の不調で休むスタッフも出てきてしまい、残ったメンバーでそれをカバーする。
さらに終わらない仕事に、不平不満が増える一方・・・。
スタッフを新規採用しても、教えてはすぐに辞めてしまう状況で・・・。
残ったスタッフたちは、精神的にも追い込まれていきました。
それは、大変な状況ですね。
ミーティングでも、お互いに、ミスや間違いを指摘しあい、「自分に責任がこないように」「これ以上忙しくならないように」と、保身に向かうようになりました。
組織全体が萎縮した雰囲気になっていたと思います。 私自身も、ついつい、ダメ出しをしたり、よかれと思ってしたアドバイスが逆効果になっていました。
その当時、アドラー心理学に興味を持っていたので、藁をも掴む心境で学び、自分自身のコミュニケーションを変えてみることにしました。すると、予想を超えて、事態は好転していき、自分でもびっくりしました。
どんな風に変えてみたのでしょうか?
まず、会議のやり方を変えました。
工場の工程でミスが頻発した時のことです。
「どうしてそれが起きてしまったのか」
ミスの原因を、ひととおり洗い出したら、意識を切り替える質問をしました。
「じゃあ、本当はどうなればいい?」
と、目的に意識を向けつつ、解決策を洗い出したのです。
すると、責め合う雰囲気が一転して、
「どうなったらいいか?」
の具体的なアイデアが、どんどん出てきたのです。
工場の動線を改善する案をすぐに作成し、実行に移し、実際に工程もミスも減らすことができました。
会議自体の所要時間も減り、その後の改善アクションもスピードアップし、チームの雰囲気としても、メンバーが新しいアイデアを話しやすい流れに一気に変わっていきましたね。
その後も、「みんなが休みを取るためにはどうしたらいいか?」なども積極的に話し合い、シフト調整や業務効率を上げるアイデアをどんどん出して、すぐに採用。
みんなで力を合わせて実行していきました。
すごいですね!
一体感も生まれそうですね。会議以外のコミュニケーションはどうでしたか?
普段の会話でも、「承認」を増やし、それぞれのメンバーが、少しでも周りに貢献しているところを指摘していきました。
1対1の面談でも、本人の価値観を引き出し、やる気を引き出し、具体的なアクションプランを一緒に作成することを心がけました。
しっかり話を聞いてもらった感覚とアクションのポイントも明確になるので、面談後は、すっきりとした表情で、活き活き仕事に取り組めるようになっていたと思います。 メンバー同士も、挨拶や笑顔の会話が増えたことが嬉しかったですね。
数ヶ月で、工場全体が前向きな雰囲気に変わったんですね。
「お互いに残業時間が減るように協力し合おう」 「自分のアイデアや意見も採用されるかもしれない」 そんな前向きな雰囲気になっていったと思います。それ以降、採用したスタッフは、辞めることなく定着し、繁忙期を一丸となって乗り越えることができました。残業時間も減らすことができ、ホッとしたことを覚えています。 大変な状況を乗り越えたメンバーたちのことを、本当に誇りに思っています。
その経験の後、講師として独立されたんですね。
はい。地元の静岡の自然に囲まれた地域に住みたいと以前から考えていました。
研修講師として独立すれば、その夢が叶うと思い、思い切って会社を辞めて起業しました。
辞める時は、大勢のメンバーが送別会をひらいてくれて、本当に感動的でした。
現在は、研修や1on1の導入サポートの仕事、そして、地元ならではの森でのリトリートなどの活動をしています。
「人が輝く職場」は、どんな立場でも、自ら作り出すことができると自信を持って言えます。
多くの人に、そのことを伝えていきたいです。
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