close

  • TOP
  • キャリアは「選ばれる」ものではなく「納得して選ぶ」もの |キャリア支援専門家が語る“価値観起点”のキャリア論

キャリアは「選ばれる」ものではなく「納得して選ぶ」もの |キャリア支援専門家が語る“価値観起点”のキャリア論

  • ピックアップ
  • 専門家コラム
  • 自分軸&ライフキャリアデザイン

本記事は、メンタルマネジメントスクールで学び卒業した専門家にインタビューをおこない、本人の人生観から専門的な内容まで、読みやすくまとめたものです。

牧園 和修さん(キャリア支援の専門家)

キャリアコーチ、組織人事コンサルタント。大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業後、就活支援団体を立ち上げ100名以上の学生を支援。大手通信会社にてシステムエンジニアや事業開発を10年担当し、採用活動にも従事。組織の不健全さを経験したことを契機に人事の専門家を志し、人事サービス会社へ転職。200社以上の人事制度や組織課題に携わり、採用責任者として延べ1000名以上の採用に関わる。現在はキャリアコーチとして、価値観と強みを軸にした就活・転職支援を行い、相談者の納得のキャリア実現をサポートしている。

「孤独感」から始まった就活支援

大学時代、私は理系でした。多くの同級生が大学院に進学するなか、学部卒で就職を目指した私は、どう動けばよいのか分からずに迷っていました。当時はネットにも情報が少なく、相談できる相手もほとんどいませんでした。教授に進路を尋ねても「大学院に行った方がいい」と言われるだけで、孤立感を深める日々でした。

そんな時、企業の採用コンサルをしていた恩師と出会いました。面接官がどこを見ているのか、どう答えれば伝わるのかを具体的に教えていただいたことで、霧が晴れるような感覚を味わいました。「正直に話すだけでは伝わらない。相手が求める視点を理解し、具体的に描写することが大切だ」と気づいたのです。

この体験をきっかけに「自分と同じように悩んでいる人を助けたい」と思い、学内で就活支援団体を立ち上げました。毎年OBが集まり、学生が少人数で話を聞ける場をつくり、さらに個別相談で1人ひとりの強みを言語化するお手伝いをしました。気づきを得て顔が輝く学生の姿に、私は心からやりがいを感じました。この時の体験が、今のキャリア支援の出発点になっています。

「組織の矛盾」のなかで気づいたキャリアの本質

新卒で入社した大手通信会社では、理系と文系でキャリアパスが分かれるなど、古い仕組みに違和感を覚えました。理系出身でも営業に向いている人はいますし、文系出身でもエンジニアに向いている人はいます。それでも「専攻」で進路が固定される現実に、本人の希望や適正よりも企業の都合が優先されているように感じたのです。

その後、事業開発に携わるなかで、組織の中にある摩擦や人間関係の難しさにも直面しました。正しい事業の計画があっても、関係者同士が衝突すれば物事は進みません。役員同士の対立による社員の疲弊、またそこからのメンタル不調など。私は「事業」ではなく「人や関係性」をどう整えるかが、生産性が高く幸せに働く鍵だと痛感しました。

転職した人事サービス会社では、評価制度の設計や後継者育成、また従業員1人ひとりの持つ能力やスキル(タレント)を企業が戦略的に把握・活用し、適切な人材配置や育成を行うタレントマネジメントといった領域を担当しました。ここで培ったのは「制度や仕組みだけでは不十分で、1人ひとりの価値観や強みを理解することが不可欠」という視点です。組織を見つめ、人を支える仕事の中で、「キャリアも同じように、価値観を起点に考えるべきだ」という確信が深まっていきました。

対話することで見えてくる、心が動く「本当の価値観」

就活支援のときには、個別にカフェなどで「どんなことをしていたの?」「それはどのようにしていたの?」と話を掘り下げて聞いています。本人は「みんながやっていること」と思っている経験でも、話を聞くと実はその人独自の強みであることが多いのです。

もちろん、対話ではなくシートなどの書面で書いてもらうこともできます。ただ、本人に書いてもらうだけでは本人の中で十分な深掘りができていないことがあります。対話しながら「それって他の人はやってないことですよ」「それはすごいことなんですよ」と伝えることで、本人が初めて気づく場面が何度もありました。「当たり前だからわざわざPRすることではないと思っていました」と答える人が多く、実際には強みを見過ごしているのです。

価値観や強みを引き出すプロセスは、書面のチェックリストだけでは不十分です。対話を通じて感情が反応するからこそ、「これが自分らしさだ」と心から納得できると私は思います。

 

「合格」より「納得」のキャリアデザインへ

かつての就活支援では、企業が求める人物像に合わせて「合格するための伝え方」を教えることが中心でした。確かに内定率は高まりましたが、入社後に「本当にここでよかったのだろうか」と迷う人も少なくありませんでした。今の支援では、まず価値観と強みを丁寧に言語化し、それを満たせる仕事や環境を探すことから始めます。求人票を条件だけで比較するのではなく、「この会社なら自分の大事にしたい価値観を生かせるか」という視点で見ていくのです。

支援を受けた人が感じる変化には2段階あります。1つ目は「自分の強みに気づいて元気になる」瞬間。もう1つは「自分に合った方向性が定まる」安堵感です。この2つの段階を経ることで、最終的に「納得して選んだキャリア」にたどり着くことができます。

あるマーケティング職の相談者は、「自分はマーケティングしかできない」と思い込んでいました。しかし対話を重ねる中で、マーケティングでも「新しいサービスをつくること」にこそ喜びを感じるタイプだと判明しました。結果として新規事業やプロダクト戦略に関わる仕事へとキャリアチェンジし、毎日の仕事を通じて大きな充実感を得ています。

「合格するかどうか」よりも心から「納得できるかどうか」。この視点の転換こそが、キャリアに迷う人を幸せな選択へ導くカギなのです。

 

いかがでしたか? あなたの人生が幸せになることに、この記事が少しでも貢献できたとしたら大変嬉しいです。また、この記事を読んで専門コースに少しでも興味や関心を抱きましたら、ぜひ参加をご検討ください。

writing by Takayuki Daimoto

本文と関連のあるコースはこちら

強みを発揮して、あなたらしい人生へシフト! ライフキャリアデザイン
  • オンライン(zoom)
  • 2.5時間
  • deadline
    受付中
  • dates
    10/30(木)
→ VIEW MORE

自己認識力が高まり、強みを発揮する ライフキャリアデザインコース
  • オンライン(zoom)
  • 土日2日間
  • deadline
    キャンペーン受付中
  • dates
    10/18-19、1/31-2/1
→ VIEW MORE

ピックアップ 専門家コラム 自分軸&ライフキャリアデザイン の最新記事

仕事も家庭もうまくいかない。自分の幸せもわからない。リーダーシップコースで、仕事や子どもとの会話が変化!!人生全体がレベルアップ!!

本記事は、メンタルマネジメントスクールのリーダーシップコースを受講して、どのような変化が…

  • ピックアップ
  • 2024.12.31
部下はクセのある年上だらけ。誰も傷つけないマネジメントで、部下が変わった!

リーダーシップコース受講生インタビュー:本記事は、弊社代表の平本あきおがインタビュー動画を収録さ…

  • ピックアップ
  • 2024.7.14
日々のパフォーマンスを上げる簡単な方法

やりたいことは多いのに、どうも行動に移せない。 毎…

  • 専門家コラム
  • 2023.5.2
【働くママ・パパを応援】子育てのヒントVol.6 不登校な子にかけるべき言葉は?学校に行かせるべき?

仕事に家事に育児に・・・時間に追われる毎日。そんな働くママ・パパ達へ。 元小学…

  • 専門家コラム
  • 2022.5.11
カウンセリングのヒント:深堀り質問はどうやったらいい?

こんにちは、ニシティです。カウンセリング実践コースで講師をしています。 今回は、やや実…

  • 寄り添う&心理カウンセリング
  • 2023.3.3
【働くママ・パパを応援】子育てのヒントVol.1 出かける時間に支度をしない子へかけるべき言葉

仕事に家事に育児に・・・時間に追われる毎日。そんな働くママ・パパ達へ。 元小学…

  • 専門家コラム
  • 2022.4.5
BACK TO TOP