“白紙で共感” ・・・カウンセラーの基本姿勢であり、カウンセリング全体で使う基本的な聴き方です。これができていると、”聴いてもらえた感”とともに、その話題が終わり次の展開に進む。では、具体的にどうやればいいのでしょうか?
分解すると、実は「白紙+共感」で別々の技術を使っているのです。共感は、深さによって3つのレベルがあり、それぞれ手順があります。興味がある方はぜひ実践コースで学んでいただきたい。
今回は、白紙について整理してみたいと思います。
白紙とは何でしょうか?「無心になることじゃない?」「相手の立場に立って聴くことでしょ?」と、思うかもしれません。しかしながら、実際にやろうとするとこうなります。
<クライアント>「先生、・・・〇〇があって、××で困っているんです・・・」
<私>「なるほど・・・もう少し詳しく教えていただけますか」
<クライアント>「はい、□□のとき、子どもが△△していて・・・思わず子どもに×××っと強く言ってしまったんです・・・云々・・」
(私の脳内)ああ・・・
1.わかる・・・ワシもそうなんだよ(同感)
2.ワシも同じように苦しんだな・・・助けてあげたい(同情・哀れみ)
3.きっと〜だろうな(早わかり)
4.そういえば良いやり方習ったな、あれが役に立つ(アドバイス)
(思考のルーレットスタート・・・!)
☆☆1☆2☆3☆4☆☆・・・・・・・☆1☆に決定〜ッ・・・!
<私>「わかります・・・!実は私も似たような経験がありまして・・・」
<クライアント>「はぁ、そうなんですね」・・・(終了)
(私の脳内)なんかただの雑談みたいになっちまった・・・白紙になろうとしたんだけどなぁ・・・
そう・・・。どうがんばっても白紙にはなれないのです。思考は勝手に浮かんでくるのです。
(※思考は生理現象ですからね)
カウンセラーの意図などおかまいなしだ・・・くうう・・・!
(※そもそも思考がコントロールできないから悩むのです。カウンセラーも同じ。人間だもの)
ちなみに上の1〜4、どれが出ても問題解決から遠ざかります。
1.同感 → カウンセラーの思い込み
2.同情・哀れみ → カウンセラーの思い込み
3.早わかり → カウンセラーの思い込み
4.アドバイス → カウンセラーの思い込み
しかもたちが悪いのが・・・どう転んでも、「助ける側 → 助けられる側」という上下関係をつくってしまうのです。クライアントの語りに対して
カウンセラーの思い込みで返す。しかも相手を低く見積もるという・・・。飲み会で互いに独り言でマウントを取り合っているような、ミスコミュニケーションが生じてしまうのです。なんてこった・・・これじゃあカウンセリングが進まない・・・!どうすればいいのでしょう?!
実践的な白紙とは、このような状態です。
”実践的”とあえて言ったのは、本当の白紙(無心)ではないから。本当の白紙になろうとするとこうなるのです・・・。
<クライアント>「・・・〇〇があって、××で困っているんです・・・」
<カウンセラー>・・・(無)・・・
<クライアント>「先生・・・?」
<カウンセラー>・・・(無)・・・
<クライアント>「先生〜・・・???」
これじゃあ仏像と会話しているのと変わらない。(※これはこれで何か悟るかもしれませんけどね)
カウンセリングの場において、カウンセラーはクライアントの合意を得ながら問題解決のために協力しあいます。したがって、白紙も問題解決のプロセスであるということです。では具体的にどうするか?見ていきましょう。
詳しくは心理カウンセリング実践コースでやりますが、人間は「しない」ということはできません。何も考えない、というのは無理です。(※訓練によってそういう状態になることは可能です)
したがって、「する」ことベースで組み立てねばなりません。さらに、巷では「相手の立場に立つ」と言ったりしますが、実際には立てません。まずは自分の思考感情に気づき、それが「クライアントとは別」と区別すること。そのうえで相手の話に耳を傾け、相手の発した情報をもとに、相手の目線で理解しようとするのです。相手を思いやり、相手の立場に立とうとする。これが「共感」につながっていくのです。目の前の人が自分を思いやり、気持ちを理解してくれようとしたらどうでしょう?この聴き方は、日常でも役立つカウンセリングの練習にもなりますので、ぜひ実践してみましょう。
というわけで、「白紙」は・・・ベーシックスキルと思ったらとても奥が深かった・・・!
実際のカウンセリングでは、白紙で共感しつつ、見立てと進行管理も同時進行していきます。こういうことをやってのけるカウンセラーって素敵・・・!かっこいい・・・!
カウンセリング実践コースでは、白紙も含め、色々な技術をステップごとに学んでいきます。お楽しみに!
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