”躾と勇気づけ”というテーマでアドラー式子育てを解説する第四弾。
躾の3ステージのうち、ステージ1について紐解いていきます。
プライベートでは歌うことが趣味。
前回のコラムで挨拶をすることが心の土台となるとお伝えしましたが、感謝も同様です。
何かをしてもらったときに「ありがとう」と言うことは、当たり前のようで実はできていないことも。
特に身近な関係性であればあるほど、後回しにしてしまったり忘れてしまいがち。
今回は「感謝」について、梶谷さんが教員時代に生徒たちに行っていたワークや、伝えてきたことについてお聞きしていきましょう。
ありがとうは魔法の言葉です。
そして、ありがとうの反対は「当たり前」。
子どもたちには、常日頃から「何かをしてもらうことは決して当たり前でない」ということを伝え続けていました。
実際に行っていたのは、「ありがとう競争」というもの。
「ありがとう」を言っても1ポイント、言われても1ポイントです。
そうすると、子どもたちなりに「ありがとう」と言われるために何をすればよいのかを考えるようになりますし、ありがとうと自分から言っても1ポイント貰えるわけですから、ありがとうと言えることを探すこともします。
最初はゲーム感覚でいいのです。
「先生、授業してくれてありがとうございます!」ー1ポイント。
黒板消しが落ちてサッと拾ってくれた子に「ありがとう」ー1ポイント。
そうやっているうちに、子どもたちの中でもありがとう競争が広がります。
例えばプリントを後ろに回す作業。
普通は黙って後ろに回していくと思いますが、ありがとう競争をしている子たちは「はい!」「ありがとう!」「いや、ありがとう!」というように、ありがとうが飛び交います。
子どもたちも1日にたくさんのありがとうを言われ、言うわけですから、ありがとうは気持ちがいいということを実体験を通して学んでいくのです。
そのようにして、子どもたちが進んで使うようになるということが躾においてとても大切なこと。
ですがすぐに習慣化するものでもないので、忘れてしまうことだってあるでしょう。
例えば私は、丸つけをしたノートを返却するときに、丸つけをしてもらったことに対して「ありがとう」を言わずに受け取った子には、一度ノートを取り上げて「はい、やり直します」としていました。
このとき、決して怒っているということをアピールするのではなく、「大切なので求めています。」と理由をきちんと伝えることも重要です。
定着するには練習が必要ですし、失敗してもOKなのです。
朝起きたら朝ごはんがあって、学校に行けて、授業を受けられて。
消しゴムを忘れたときに友達が貸してくれたり、落とし物を誰かが拾ってくれたり。
「ありがとう競争」は、日常生活にあふれる見逃しがちな「ありがとう」を子どもたちがゲーム感覚で探す、とてもいい機会になったのではないかと思います。
はじめはゲーム感覚でも、ありがとうのシャワーを浴びると自然と気持ちがよくなってくるはず。
そうしていくうちに子どもたちが、
のではないでしょうか。
そして躾という点において更に言うと、必要な場面で言わなかった際ただ「言いなさい!」と言わせるのではないということ。
梶谷さんが仰っていた言葉。
ー 大切なので求めています。ー
この言葉から、決して支配するのではなく、相手へのリスペクトを持ちながら丁寧に伝えていることがわかるかと思います。
躾も、子どもを相手にしたれっきとしたコミュニケーションなのです。
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