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休職者続出の組織が応援しあう組織に? 〜チームメンバー間の意思疎通のきっかけになったグループチャットの使い方〜

  • 専門家コラム


こんにちは!
平本式サブ講師の平川 宗ことマッハです。

仕事も上司も「嫌いじゃない」でも、なんだか職場の居心地が悪い
以前、私の職場はこのような状況でした。

社会人の2年目の6月に1人。7月に1人。そして翌年に2人、と相次いで先輩や同期が休職してしまったんです。当時は「この職場で何が起こっているの?」と、言いようのない不安を感じていました。ただ、残念ながら私にはその原因が分からなかったんです。

でも、仲の良かった先輩が休職したことがあまりにも悔しく、

・原因はなんだったんだろう?
・どうしたら休職しなかっただろう?

と、自分なりに徹底的に考えて、目的論コミュニケーションなどを実践してみました。その結果ありがたいことに、今は誰も休職しない職場になり、売上もチーム全体で追うことができています。

本記事では、

・そもそも何がこの「不安感」の原因だったのか
・私がこのチームでどんなことを行ったのか
・その関わりによって何が変わったのか

これらについて、具体的にお伝えできたらと思います。

もし今、あなたのチームの居心地が悪く、なんとかしたいな、とほんの少しでも感じていらっしゃるのであれば、この記事が参考になると思います。

平川 宗(HIRAKAWA Shu ニックネーム:マッハ)
平本式現場変革リーダー養成コース10期。
大手人材会社にてBtoB営業に従事。常時150名近くのキャリア形成支援を行う。多種多様な業界・大企業・中小を問わず、求人広告にはない現場の「リアル」を体感。コーチング・カウンセリングを生かした組織内コミュニケーションや部下指導、面談での就業支援が功をそうし、社内表彰多数受賞。
明治大学などの教育機関で学生向けの就活講座を担当。
ニックネームは、「マッハ」。伝説のF1ドライバー、「シューマッハ」から。

指導担当だった先輩が突然の休職へ

私の会社では部署に配属されてから半年間、「指導担当」として先輩が新人の面倒をみる制度があります。
私の指導担当だったNさんは、優しいお兄さん的な存在で、

●営業計画の立て方
●飲み会の企画
●送別会の準備

など、何でも相談できる方でした。社会人として右も左もわからない中、いつも優しく、時には厳しく、僕を育ててくれた、大恩人です!その半年後、指導担当も卒業のタイミングで、Nさんからこんな盾をいただきました。この盾に「永遠のブラザー N」と書いてあることがすごく嬉しかったです。

Nさんから大きなお客さんを引き継いだこともあり、「貰ったバトンをつながなきゃ!」と、必死に仕事をしていた矢先、社会人2年目の6月に、Nさんが休職されました。

「え?なんで……?」というのが素直な感想です。
ですが、Nさんに聞く勇気もなく、弟分としては何も察知できなかったことに、強い悔しさを覚えました。

さらに1ヶ月後、今度は別の先輩も休職になりました。
その先輩は2ヶ月前に異動されてきたばかりでしたので、意図的に声もかけていたんです。

ですので、この時も「え?どういうこと?」と、強い衝撃を受けました。
そして「あれ?なんか繰り返してないか?」と、思ったと同時に、

・また自分は察知できなかった
・組織や内部に問題があるんじゃないか?

と感じていました。

でも、

・社員同士は仲も良い
・社内のストレスはないはず
・人材派遣という商材が原因??

と、私には当時、何が原因か分かりませんでした。

職場でその方の座っていない机を見て、

「自分は何も変えられない」
「自分がいても何も良くなっていない」

と、無力感でいっぱいでした。

職場の方は、皆さん「いい方」で、その方々が不本意に職場を離れることが、私にはとにかく悔しかったんです。

そして目的論コミュニケーションを学び…

平本式では、20代の方向けに「奨学生制度」があります。「奨学生制度」を利用して3ヶ月コースで学び、私個人の営業成績は大きく伸びました。(詳しくはこちら >> 苦労の営業から表彰まで。目的論コミュニケーションを学んだことで起きた変化

「自分は変われた」という実感があり、現変で学んで良かった!と思っていたのですが、一方で「組織」に対しては、あまり貢献できていないかも、とも感じていました。

そんな折、またしても休職者が出ます。
今回は、私と仲の良い同僚でした。

しばらく連絡も取れない状況が続き、上司が同僚の家を訪問した時、同僚は衰弱していて、会社の携帯に触れなくなっていたそうです。

同僚は社内でも顔が広く、「アホなことを一緒にやる仲間」でしたので、信じられませんでした。もしかしたら同僚が家で亡くなってたかもしれない、と思うと本当に恐ろしかったです。

その後さらにもう一人休職され、「この職場で何が起こってるんだ?!」と真剣に向き合おうと思ったんです。
当時は、大切な人が私の手からこぼれ落ちていく感覚でした。

それまで私は、現変で学んだコミュニケーションは主に顧客に対して行っていました。
でも、「もうこんな別れ方をするのは絶対に嫌だ!」と思い、意識して社内での関わり方を変えていったんです。

「誰かの役に立ちたいし、助けになりたい」これが私の価値観です。社内をなんとかしないと!と強く思いました。

組織の課題は「個人事業主」

あらためて組織の課題を考えてみました。当時、最もしっくりくる仮説は、

  • 「しんどさ」のはけ口がない
  • 組織のメンバーが個人事業主みたいに孤立している

この2つでした。

私のいる部署は「全社で最も生産性の高い職場」と呼ばれていて、優秀な営業マンが揃っています。
一人当たりの売上や営業利益が社内と比較しても高い組織と、社内でも有名でした。

しかし私達の職種の性質上、売上と比例して増えるのがトラブルやイレギュラー。
みんなお互いに無関心ではないですし、声も掛け合っていますが、こと仕事に関しては「自分一人で解決しないと!」という状態でした。

そのため、

  • しんどいことがあっても誰にも言わない
  • 個々人のやりがいでなんとかしようとする
  • 限界を迎える
  • 休職する

このようなパターンがあるように感じたんです。
コミュニケーションについて学んでいたことが、組織での課題の発見に役立ちました。
発見したら、もちろん次は行動です。これら2つの仮説について、何ができるかを自分なりに試行錯誤してみました。

グループチャットで社内コミュニケーションを活発に

まず私が取り組んだのは、組織のメンバーを「個人事業主」から「組織の一員」とすることです。
当時は「しんどさ」を「社内の誰かに発信するスキル」が求められていたように感じます。

しかし、「しんどさ」を発信する仕組みをどう作って良いかは分かりませんでしたので、まずは、社内のコミュニケーションを活発にしようと考えたんです。

具体的に言うと、それまで私の部署では、新しい契約をいただいても、
「〇〇と契約いただきました。」
と、1〜2行でグループチャットにさらっと書くだけでした。
「契約を取るのなんて当たり前」というプロ意識もあったんだと思います。
そこで私は、グループチャット上で「7秒コーチング」を積極的に使いました。

7秒コーチングとは
人とすれ違う一瞬(7秒程度)の間に、「いつもありがとう」「ここが良かった」「〇〇さんが喜んでたよ」と伝える手法です。現変では言葉で伝える手法を学ぶのですが、グループチャットに応用しました。

チームメンバーから報告が入ると、

  • 「何が契約につながった決め手ですか?」
  • 「みんないい動きをしているんですね〜!」
  • 「このスピード感すごいですね〜!」
  • 「僕も案件決まりました!」
  • 「このままで目標達成できたら嬉しいよね!」

など、と積極的に、みんなが「こだわっていそうなところ」や「できているところ」を伝えまくりました。
すると面白いことに、次第にその報告の内容が細かくなっていったんです。

自分の「こだわり」や「できているところ」を認められるって嬉しいですよね!ちなみに今では、契約につながった理由やそれまでの経緯などが、びっしりと書かれています。

メンバーの成功事例って自分や他のメンバーの参考にもなりますし、なによりもチームを鼓舞します。
次第に、「もう一件行ってきますわ〜!」と、これまで以上に挑戦的な営業にトライするメンバーも増えてきました。
グループチャット一つで、こんなにできることがあるんだ!と驚きましたね。

「しんどさ」を外に出す場

さらにその後、2021年の11月頃だったと思います。
上司に対して「平本式で職場でも使える心理学やコミュニケーションを学んでいます」と、現在学んでいる内容を伝えました。
すると上司から「じゃあやってみて」(ニコッ)と言われたんです。

そこで3ヶ月コースで学んだ目的論コミュニケーションを活用して、上期(4-9月)の振り返りを行いました。
具体的に用いたのは「ライフマップ」という手段です。

ライフマップとは
過去の良かったこと、しんどかったこと、現在のこと、なりたい未来、なりたくない未来について話すことで、なりたい未来へのモチベーションをさらに高めること。

私自身が平本式でライフマップを初めて歩いた時に、
ああ、自分のモチベーションってここから来てるんだ!と感じたのがライフマップです。

仕事以外のことでもモチベーションになっていると気づいたり、将来への漠然とした不安って「なりたくない未来のことなんだ!」と知ってちょっとスッキリしたり、と、気づくことが多かったんです。

テーマは「上期の振り返り」、参加者は後輩と先輩の計6人でした。
紙と付箋を用意して、まずは「上期のよかったこと」を書いてもらいました。
しかし、誰一人として手が動きません。

みんな「あれ?よかったことなんて、あるかな…?」と苦悶の表情で考え込んでいたんです。
この時は、「ヤバい…!この振り返り、全然進まないかも!!」と、心底焦りました(笑)

そこですかさず、「上期、しんどかったことを書いてください」と伝えると、みんなが一斉に、「ガリガリガリガリ…!」とすごい勢いで書き始めました。

みんな本当に大変だったんだな、としみじみ思いました。
そして、「しんどいこと」を外に出す「場」が作れた!と思った瞬間でもありました。

しんどかったことを外に出すと、ようやく「良かったこと」にも意識が向くようになります。
「強いて言うなら、良かったことってなかったですか?」とあらためて問うと、

  • 「このお客さんと取引ができた」
  • 「こういう案件が決まって嬉しかった」
  • 「ありがとうって言われて嬉しかった」
  • 「サボらずに毎日来れたことが良かった」

と、ポロポロと「良かったこと」が出てきました。
その後、

  • 「現在はどう?」
  • 「一年後や二年後はどうなっていたい?」
  • 「どういう未来にはなりたくない?」
  • 「理想の未来は?」

と、ライフマップに沿って質問をし、それぞれ書いてもらった上でみんなで共有しました。

それまで、僕の組織はサークルみたいに仲のいいチームだと思っていました。
でも今回、各々が考えていることや価値観をあらためて共有できたことで、みんなを応援したい!っていう気持ちにまでなったんです。聞いてみないと分からないものだな、と思いましたね!

特に印象的だったのは、「上期のつらかったこと」で、「休職した人がいて悲しかった」と書いている人が多かったことです。
「僕だけが悲しかったわけじゃなかったんだ!!」と、あったかさを感じられた気がして、より「チームで頑張っていきたいね!」という一体感が生まれた気がします。

一体感の証明となった数字

そしてその月は、それを証明するかのような月になりました。
チームリーダーの売上が、その月はあまりよくなかったんです。

いつもはリーダーが売上を引っ張ってくれていました。
ですので、その恩返しとして「チームのみんなで勝ちたいな!」という意識で営業に臨むようになったんです。

それまでは「自分の数字」がメインでしたが、この時から「チームで売上を追う!」という姿勢になったように感じています。
その結果どうなったかというと、社内でもトップクラスの成績で終えることができました。
チームで勝てた!と感じられたので、すごく嬉しかったです。

組織変革を振り返って

そしてその月は、それを証明するかのような月になりました。
ありがたいことに、私が「組織を変えたい」と行動するようになってから休職者は出ていません。

組織を変革するために私が意識していたことは2つだけです。

相手と横の関係で、「相手の関心」に関心を持てるか
一緒の目線で物事を見れるか

その結果、「その人のらしさ」が発揮される場面を増やしているのが理想です。

自分が何かを人にやらせる
命令して無理矢理させる

のではなく、

・人に自分から主体的に行動してもらう
・自分から想いを伝える

こんな瞬間を増やせたらいいな、と思っています。
まだマネージャーじゃないんですけどね(笑)

今回の記事は、いかがでしたか?
次の記事では、「自分軸と真逆の生き方をしていた私」からどんな大変化が起きたのか?仕事以外の人生の転換について、お伝えしたいと思っています。

どうぞお楽しみに!

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