”躾と勇気づけ”というテーマでアドラー式子育てを解説する第四弾。
躾の3ステージのうち、ステージ2「自立と協力」について紐解いていきます。
プライベートでは歌うことが趣味。
前回まで、ステージ1として「相手と自分へのリスペクト」をお伝えしました。
挨拶・感謝・謝罪ができるようになってくると、相手と自分へのリスペクトが毎日感じられ、それが積み重なることで子どもたち自身も「なんだか気持ちがいい」「この空間にいると元気が出る」というふうに、日々のやる気に繋がっていきます。
そうやってやる気に溢れると子どもたちは、自分で色々とやりたいという意思が自然と生まれてくるもの。
ステージ2「自立と協力」では、その子どもたちの意思と力を最大限に尊重できるよう、
の2つに分けて解説していきます。
ステージ1でやる気の土台がアップした子どもたちが、自分自身で色々やりたいと思ったときに、周りの大人が「あれをやりなさい、これをやりなさい」と指示を出し続けると自分で考えて行動しなくなります。
大人は子どもが自分で考えて行動するということを促すことが大切です。考えて実践する機会を与え、何か問題が発生したときも、どうすればいいと思うかを子ども自身に考えてもらうこと。
例えば私は、2学期の始業式に黒板に「みんなが考えてやれると思うことをやってください。楽しみにしています」とだけ書きます。
すると、子どもたちなりに考えて、
というようなことをしてくれます。
これらは誰が指示したのでもなく、子どもたちが自分たちで考え、仲間と相談し実際に行ったこと。
私はそれに対して、最大限の感謝と感動を言葉で伝えます。
そしていつも、「自分で考えてできると思ったことはどんどんやってください。先生のお仕事を取っていってもらっても構いません」と言っていました。
例えば先生が用事で授業に遅れてしまうとき、普通であれば自然と”遊んでいい時間”と認識し、先生が入ってきて「静かにー!」と始まることが多いかと思いますが、「チャイムが鳴ったら授業時間。自分で考えてできることをしていい」と事前に伝えているので、先生が時間になっても来ないという場合、子どもたちで「音読ならできるんじゃない?」「漢字ならいつも通りだと3文字やるから、同じようにやってみよう」と話し合って実践しています。
そして私が戻ってきたときに、「これはやったけど、これができなくて」と報告をもらうのです。
私も子どもたちの行動力に驚きますし、「ここまでやってくれたの?すごいね・・・!ありがとう!」というふうに伝えます。
このようなやり取りをすることで一番大切なことは、ステージ1の「自分と相手へのリスペクト」が土台にあることです。
大人はよく「自分で考えて行動しなさい」と言いますが、ステージ1なしに先読みして行動させるようなアプローチをすると
というようなことになりかねないからです。
ステージ1の土台があったうえで、子どもたちが先回りをして動いた場合にはしっかり認め、感謝をする。
そして「このように相手が何をしようとしているのか、何があれば助かるのか、先回りをして動くということが将来生きていくうえでどれだけ大切なことか」ということを伝える。
そういうやり取りを続けるのです。
自由に動ける安心安全な心の土台があるからこそ自ら考えて動けるようになり、またそれを認められる場所があるからこそ自分を肯定でき、自信へと繋がっていくのですね。
次回のコラムではステージ2の「自立と協力」の2つ目、「ルールを守ること」について解説していきます。
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