こんにちは、ニシティです。カウンセリング実践コースで講師をしています。
心理カウンセリングを学ぶと誰もが思うこと。
「家族や子どもとよりよい関係を築くのに役立てられないか?」
家族や子どもの部分がパートナーや職場の同僚に置き換わる人もいるかもしれない。
要するに身近な人だ。
カウンセリングを使って身近な人とうまくやるにはどうしたらいいだろう?
私はカウンセリング技術をコミュニケーション法と捉えて日常的に役立てている・・・つもりだ。
などなど、私の「実験」も兼ねていろいろやっている。
人間の性質を踏まえた技術は家族であっても有効。
一方、家族間のカウンセリングは二重関係であり、それゆえうまくいかないときもある。
身近な人のカウンセリングがうまくいくときはどんなときか条件を整理してみよう。
うまくいく条件は次のようになる。
整理してみると普通のカウンセリングと何も変わらなかったぜ・・・。
解説していこう。
ずばり、カウンセリングの成否に最も影響する条件は「カウンセラーの安心安全」だ。
カウンセリングの土台と言っても良い。
カウンセラーも人間。
安心安全なときだけ、リソースフルに態度をコントロールできる。
共感も、技術も、進行管理もできる。
逆に、安心安全でなくなるや否や、過去の繰り返しパターンが出現しやすくなる。
つまり、うまくいかない。
特に親子関係の場合、ここが真っ先に崩れやすい。
よくある問題を3つに絞ってみた。
通常、子どもとの距離感は近い。
子どもが小さいうちは自分と重なり合っていると言ってもよい。
近い距離感で遠慮がなくなると、子どもを自分の思い通りにしたくなる。
子どもが思い通りでないと、安心安全が崩れ、思い通りでないときの「自分の親のパターン」が出やすくなる。
別の言い方をすると、自分が親にされたようなことをしたくなってくるのだ。
さらに、この距離感は利害関係も近くなり、子どもが失敗すると自分が困ることも多い。
例えば、朝、子どもを保育園に送ってから仕事に行こうというとき・・・
子どもが頑固に抵抗したらどうだろうか?
「あんたが保育園に行かないと私が仕事に遅れちまうじゃあね〜かッ・・・!」
「コンチクショウッ・・・!」
となって、子どもの態度が自分の安心安全に直結してしまう。
自分がしてほしくないことをされたとき、自分が安全でなくなる距離感であることに気づいている必要がある。
これは職場の部下などでも同じだ。
仕事でクタクタに疲れて本来なら休みたいとき、それでも家族に関わらねばならないこともあるだろう。
疲労や睡眠不足も安心安全を損なう・。
「おめーら・・・こっちは仕事で疲れてんだッ・・・!」
「テレビ見てねーで、食器ぐらい自分で洗いやがれクソがッ・・・!」
となってしまうだろう。
いずれの場合でも、自分が安心安全でなければ、意識は勝ち負けの世界に突入。
ー自分の思い通りにできれば勝ち
ーできなければ敗北感
という恐るべき二択が始まってしまう。こうなると共感などできやしない。
このように、身近な人、特に家族や子どもに対するカウンセリングは自分の安心安全を保つことがまず課題となる。
これが簡単なようで難しい。
親、兄弟姉妹、子ども、夫婦・・・身近な人ほど難易度が上がる。
と言っても対策はある。
上で述べた問題を知ったうえで、対策をしていけばよい。
まずは疲労対策。
自分が疲れているとき、自分のケアを最優先にする。
セルフカウンセリングをして、なるべく自分を思いやる選択をしよう。
ここに抵抗がある場合は家族よりも自分にカウンセリングが必要かもしれない。
一方、相手に対してはできる範囲でできることをする。無理しない。
自分が我慢したが最後、
「私が我慢しているのになんだその態度はァァァッ・・・!」と相手を攻撃してしまい、
かえって問題が大きくなるかもしれない。
これは人間の性質であって、個性とは関係のない話。
このような知識を持っておくことも大切。
利害関係があって何かやらかされたとき、何にどう困っているかハッキリ伝える。
ただし、落ち着いたトーンで真剣に・・・だ。
これは後で伝える信頼関係にもつながっている。
一呼吸置いて、何にどう困っているかを率直に伝え、何をしてほしいかも明確に伝える。
感情的に伝えると、「オ、オレは悪くねぇゼ・・・!」と防衛的になって開き直る可能性が高まる。
下手すると面白がって次もやるようになる。
真剣に伝えたからといって、相手が動いてくれるかどうかはわからない。
少なくとも言わずに溜め込んで爆発するよりはいい。
もし爆発してしまったら、「利害関係があるから怒るのは仕方ねーだろ・・・!」と、
まずは自分に寄り添って、開き直って最後まで怒ってしまおう。
怒ったとしても、あとからフォローできればよいのだ。
いずれにしても、その場の思いつきではやれない。
何かあったら、セルフカウンセリングをしたうえで「次はこうしよう」と仮説検証のプランを立てておこう。
子どもは成長する。本来は成長に合わせて距離感が変わる。
自分の一部であった子どもが、自立した人間になって巣立っていく。これが自然の摂理なのだ。
セルフコーチングで未来を描き、そこから逆算して今どんな距離感でつきあいたいか決めていこう。
どんなときも、子どもは自立した存在としてその意思や行動を尊重される経験を必要としている。
失敗してもやってみたいし、将来を人に決めつけられたくはない。
ただ、尊重とは言いなりになることではない。その意思や行動をまずは理解し、認めることだ。
そのうえで、親の知恵をさずけるのも良いだろう。親の知恵も自立のリソースになる。
自分自身に対しても、
この流れをある程度事前に決めておくと良い。
身近な人のカウンセリングに必要な条件の土台となるのはカウンセラーの安心安全。
そのためには、
人間はできごとが予測可能な範囲のとき安全でいられる。
したがって起こりうる問題に対して予め何をするか決めておくことが大切。
自分自身を安心安全、リソースフルに保ったところで、次のフェーズ「信頼関係」に移行する。
長くなったので「信頼関係」と「問題解決の意思」についてはまた別の機会で・・・。
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