”躾と勇気づけ”というテーマでアドラー式子育てを解説する第四弾。
躾の3ステージのうち、ステージ1について紐解いていきます。
プライベートでは歌うことが趣味。
人間、生きていれば大なり小なり、間違うことはあるでしょう。
素直に謝れることもあれば、こちらの心情によってつい意地を張ってしまったり、
近しい人だと反省はしているものの、「言わなくてもきっとわかってくれる」と言葉にしなかったり・・・。
謝るということがコミュニケーションを築くうえでどれだけ重要なのか、また躾に置いてどのように伝えるべきなのかを、梶谷さんのご経験を含めてお聞きしていきましょう。
「ありがとうとごめんなさいは速達便。手遅れになる前に、思ったときにすぐ伝える。」
と常日頃、子どもたちに伝えていました。
自分がいけないことをしてしまったときに、ごめんなさいと言えることは人と人との関係性を作っているうえでの基本。
子どもたちには、「謝り方」から伝えます。
例えば、「さーせんした。」というのはどうか?と聞くと、「謝る気がないよね、嫌だね」と子どもたち。
相手が少しでも気持ちがいいように謝る事が基本であること。
反省している、悪いと思っているということが伝わることが大切で、その気持ちがしっかり伝わったときに、相手から「いいよ」と許してもらえること。
日頃からそういったことを伝え続けるのです。
そして何かトラブルが起こった時に、話はしっかり聞いたうえで、謝ったほうがいいよ、と促す。もちろん、理由はしっかり伝えます。
もし子どもが謝らないと決めている場合、例えば明らかに他のクラスに迷惑をかけた場合などは、「じゃあ私があなたの代わりに謝るから見ていて」と、一緒に連れて行って、私が頭を下げることを見せていました。
ですがそもそも、謝らない(謝れない)場合、自分の気持ちや事情を聴いてもらえていないと思っていることが非常に多いので、詳しく話を聞きます。
「僕だけ、私だけじゃないのに」と言うと、それ以外に誰がいたのかを聞いて、「言ってくれた人みんな呼ぶね。」と承諾を取りつつも、その子の主張をしっかり聞く。
何が嫌だったのかを聞いたうえで、「それは悔しかったね、そこは聞けていなくてごめんね。」と受け止め解消する。
一方で、謝らないことに対する、将来起こりうるデメリットも伝えます。
話をよく聞いて、事実を整理したうえで、
「私は、あなたにも悪いところはあると思うよ。」と言いつつも、それでも謝らない場合には、「謝れないでいると、周りからこの子と遊びたくない、仲良くしたくないな、と人が離れていってしまう。私はそういうことを心配しています。落ち着いたら、また話そう。」と声をかけます。
そして、落ち着いたころに、「どう?落ち着いた?謝ったほうがいいと思うけどどうかな?」というふうに、”伝え続ける”のです。
最初は謝れなくても、そうやっていくうちに、子供自身が理解をしたときにちゃんと謝ることができるようになってくる。
そして謝れたときに、「成長したね!それ、すごくいいことなんだよ」と認め、伝えることが躾なのだと思っています。
そして最後に、一番大切なことは、”大人も率先してこれらを心がけること”。
自分が悪いと思ったら素直に謝るし、子どもたちから「いいよ」と許してもらえたときには「ありがとう」ときちんと伝える。
これをすることによって、謝る→許す、認めるという ”風土” が出来上がります。
この風土ができていると、子どもたちも何か間違ったときに、素直に謝れる環境が出来上がるのです。
ですが、正論や言い訳で逃げる人よりも、素直にすぐ謝れる方が、将来他の人との折り合いをつけることができる大人になれる。
そうやって自分の弱さを認める事によって他の人との信頼関係が築きやすくなることを、大人が伝え続ける必要があります。
色々な場面で伝え続けたうえで、実際に子どもが謝れた時にしっかり認めること。
そうすることで、その行動が正しいものであると肯定されますし、必要な時に謝ることは、よりいい関係が築けるのだと子どもが気づくことが出来るようになってくるのです。
一方で、しっかり子どもの話には耳を傾ける必要もあります。
子どもには子どもなりの事情がありますから、それを聞きもしないで「謝りなさい」と言うことは「聞いてもらえない」と耳を閉ざしてしまうことになりかねません。
子どもの事情をよく聞いて、受け止めたうえで、謝る必要があるのであれば促す。
人は、認めてもらい、信じてもらっていると安心して行動することができるもの。
伝える側の大人も、”きっとできるに違いない”と信じたうえで、何度も繰り返し伝え続けることが大切なのではないかと思います。
さて、躾の3ステージのうち、ステージ1「相手と自分へのリスペクト」はここまで。
次回からいよいよ、ステージ2「自立と協力」について解説していきます。
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